『お前等暇人か』
「お、那琉。来たな」
二カッと笑って私に手招きするせーちゃんの傍に寄ると、隣の席に座らされた。
『喧嘩なんて行事作るんじゃないよ、このバカやろ』
「しょうがねぇだろ?
今こそ、蒼月が静めてくれて殆どの生徒が蒼月になったから平和なものの、昔はヤバかったんだって、本当に」
疲れたように言うせーちゃんの表情は嘘を言ってるようには見えず、『ほう。』とだけ言っておいた。
『始まった……』
人が多すぎて、散らばってる男の子の中から玲達は見つけ出せなかった。
……喧嘩、確かに喧嘩だなぁ。
喧嘩だけど…、何か想像違う。
仲間だから、あんまり殴り合いと言う殴り合いはしてなかった。
言うなら戯れ合いと言うか…強さ比べみたいな?
まぁ、想像していたものより幾分可愛らしいモンだ。
「楽しそー」
『…そう?』
殴り合い…戯れ合いか。
戯れ合いの、何が楽しそうなの?
拳は殴ったことにより傷つく。
拳を受けた体は痛みを主張する。
そんなものの、何が魅力的だと言うの?
「……言えば、男の証だよ」
せーちゃんは優しい顔で“戯れ合い”を見ていた。
いつの間にか、洸は域を越えた喧嘩の仲裁に回っていた。
それを交えながらも皆の様子をみていた。
「男にはプライドがある。
1人1人、それは違ってもいいと思う。
勉強でも、スポーツでも、武芸でも。
ただ、喧嘩は傷つけ合うんだ。
それでも、男は喧嘩をやると思うよ。
喧嘩のソレを越えたら、確かな自分の“何か”を得られるから」
せーちゃんを見ると、大人の優しい瞳をしていた。
……せーちゃんは、きっと。
これほどにないいい先生だと思う。
洸も。
域を越えた喧嘩も、優しさなのか情なのか、タイミングよく現れる。
酷く、この人達が輝いて見えた。

