姫はワケあり黒猫様





『喉の奥に絶対刺さった』




「何とでも言え」



しらっとした態度をとる玲だけど、玲なりの優しさだとわかっているから尚更何も言えない。




黙ってカロリーメイト一本を差し出すと玲は訝しげに私の顔を覗き込んだ。




『交換ね?』



「……要らねぇよ」


『食えよひょろひょろ』



「誰がひょろひょろだ。」



お前には言われたくねぇよ、と二の腕を掴まれた。



でも、玲の手は大きくて私の腕をくるっと包んでしまっていた。




それには、やった本人もびっくりした様で目を見開いて私を見た。




「……マジでひょろひょろだな」



『うっさいな』



玲の言葉にイラつき、お返しにと口にカロリーメイトを突っ込むと、玲は私を睨みながら一口噛んで手に持った。




「要らねぇっつってんだよ」



『食えっつってんだよ』





「あ゛ぁ?」

『ごめんなさい』





ごめんなさい、本気で怖いです。



謝ると玲は私に食べかけのカロリーメイトを差し出した。




『食べかけ食えっての?!』



「……だよ…」



『え?何て?』




「カロリーメイトはパサパサするから嫌いなんだよ」




ギロッと私を睨むが、言ってることが可愛すぎるので効果が半減している。




怖いことに変わりはないけど。






「あぁー…玲は口の水分取られる食いモン嫌いだよな。おからとか」




『あ、そういうことでスカ』



佳祐が笑いながらそう言うのを聞いて、玲の手からカロリーメイトを取ってパクッと食べた。




まぁ、玲に突っ込んだ分が多すぎて一口で食べれた。






……確かに、水分取られるかも。




夏はあんまりオススメできないな。




もぐもぐと食べていると、皆が私を凝視していることに気がついた。



『……何?』



飲み込んでそう言ったら、玲はそっぽを向いてしまった。




「……天然って怖いね」



紅羅は私を苦笑しながら見ると、夕季も顔を真っ赤にしていた。




「お、おまっ……」



「あら~夕季ちゃんはウブですねぇ~」




響がからかうようにそう言うと、夕季は「ウブじゃねぇ‼」と力いっぱいに叫んだ。




『……みんな悠長にご飯食べてるけどさー、』
















昼休憩終わりまであと5分だよ?







何となく口にできない雰囲気で、自分の荷物の片付けだけして皆が気づくまで待っていた。








結局皆放送聞いて急いで食べてたけどね。