姫はワケあり黒猫様






あ。




すごくコケてほしい人No.1の人が今から走る!






『佳祐ー!』



「おー那琉」




スタート直前なのにケラケラと笑って手を振る奴にスマイルをつけながら叫んだ。




『コケて!』




「は?!」



《位置に着いてー》





言葉のやりとりをしている間に合図がかかって心でほくそ笑んだ。








《よーい》







パンッ!









…チッ





つまんない。




ちょーーーーつまんない。






普通に1位でゴールしやがった。





遅くはなく、別に速くもなく。






けど、佳祐以上に気になったのは後ろを独占する女の子だった。





やっぱり、女の子って最下位くらいだよね……



肩を竦めると、優がクスクス笑いながら頭を撫でてきた。





「大丈夫、那琉はタイム的に6位だよ」




……怖いから‼




あ、情報屋だったなこいつそういえば。





うわー。




今更ながらこいつが怖い。



優は遠矢に、「結果知ったら面白くないでしょ」と頭を叩かれていた。





玲は我関せずといった様に目線をはずしてボーッと最後尾に並んでいた。


玲をジッと見つめて素早く目を逸らす。





……よし、3レーン。








等々自分の番がきてしまった。







やだなー。マジやだなー。







そんなこと思いながら悪態をついていると、後ろからギュッと抱きしめられた。






「1位とれよ」



『私女なんですけど?!』




「頑張ったらご褒美やるよ」




耳元で言われてぞくっとして睨みつけると、玲は笑いながら私から離れた。





「だから、俺が1位とったらお前もくれよ」





『は?意味わかんな…《位置に着いてー》





被せられた言葉に慌てて位置に着く。




ご、ご褒美……チョコとか、ジュース奢れっての?




女の子にそんなことやらせんなよ!




そんなこと悶々と考えていると、ピストルは大きく音を鳴らした。







考えながらもちゃんと反応する私の体って……






自分で呆れながらもすごく一生懸命走った。





でも、ゴール寸前でも前に見えたのは5人居た。







……6位か。




てか優、もはや怖い。






唸っていると、既に終わっていた佳祐が笑いながら近寄ってきた。