姫はワケあり黒猫様






『玲?皆の応援しようよ』



「……」



『玲?』






来たのは、空き教室。




まだ暑い時期だけど、涼しい風が開けられていた窓から吹いていた。




玲はくるっとこっちを向いて口をぎゅっと結んでいたけど、私を抱きしめて壊れそうなほど弱々しい声を出した。




「……前に言ったのに」




その声と仕草と表情と行動、全てが喧嘩後の子供の拗ね方に似ていた。



『玲~?どーしたの?』





ハッキリ言ってしまえば、玲と紅羅は心は少し子供のまま体が大きくなってしまったんだと思う。




……紅羅は体は微妙だけど。





ポンポンとあやす様に背中を撫でると、私の首筋に顔をうずめてぎゅうぎゅうと抱きしめてくる玲。




……でかい子供だな。






思わず苦笑していると、玲は顔を少し首筋から浮かせて口を開いた。








「……紅羅が抱きつくのムカつくって、俺言ったよな」




少し苛立ちを含んだ声に思考を巡らせる。





紅羅が抱きつくのムカつくーーーー








『……言ったっけ?』




「告った時言った」




『………』




ーーーー紅羅が那琉に抱きついても、響が那琉を口説………ーー









『………ガマンしてるって言ってただけじゃん‼』



「……わかるだろ」




『バカだからわかんないんですぅ~』




思いっきりバカにした言い方をすると玲は顔を上げてギラリと目を光らせた。




「………じゃぁ、わからせるしかないんだろ?」





『え………』





どういう意味?と口にしようとした時には、





既に玲の唇が私のソレに重なっていた。