「……」
『当たってるみたいだね。
でもそれは違うよ』
夕季は私に顔を向けた。
『……私は、大切な全てを無くして…
要らないモノを手に入れた』
思わず私は天を仰ぎ見た。
そうじゃなきゃ、
涙が零れそうで。
『……その大切なモノが無くなった今、』
置いてあった包丁に手を伸ばして喉元に突きつけた。
『死んだって構わない』
「っおい……!!」
夕季が私の包丁を握る手に自分の手を併せてはずさせようとした。
『……なーんて。
私はね、まだ“死ねない”んだ。』
その言葉に夕季はフッと力が抜ける様に私を見て髪をくしゃっと掻いてその場に座り込んだ。
「…少しぐらい、話聞けるか?」
夕季は頭を壁に付けてまるで、涙を流さない様に頑張ってるように見えた。
『どうぞ?』
そう静かに言って火を止めると、夕季の隣に座り込んだ。

