「那琉~お腹空いたよ~」
『ふふ。
一回別荘に戻るしか無いんじゃないの?』
「えー…面倒くさい……」
紅羅はブーブー言いながらもお腹を押さえる形は変えない。
「はー、俺飯作ってくる」
「マジッ?!夕季大好き~」
紅羅はわざとらしくそう言って夕季に手を振った。
「……那琉も手伝ってあげれる?」
遠矢が予想だにしなかったことを言ったので私も夕季もぽかんと口を開けた。
「いっ、要らねぇよこんな『チビじゃないからなッ!』……く『クソ女でもないからなッ!』…………だぁぁつ!要らねぇよ‼」
「……時間短縮だよ。
那琉、行ってあげて?」
『えぇ~…まぁいっかぁ。
ほら、行くよ』
「勝手に仕切り出すな!」
ギャーギャーと騒ぎながら歩いていた私達には、遠矢と佳祐の会話なんて聞こえなかった。
「………少しは、那琉がほぐしてくれてるんだから」
「……あぁ、そう、だな…………」
黙って2人を見つめていた玲も、感情の読み取れない表情で静かに思考を巡らせていた。

