姫はワケあり黒猫様





もう帰る時間になっていてびっくりした。




『わー、もうこんな時間だったんだね』



「夏は明るい時間が長いからねー」



響はボーッとしながらタバコを吸って窓を見ていた。




『…………夕日、綺麗だね』





「あぁ。そうだな」




玲は窓の外の世界を見て一瞬悲しそうに目を細めた。






「……、さっ、玲、那琉を送っておいで」





『何その迷子の猫を交番に届けておいで的な言い方』




「…あながち間違ってないんじゃない?」




クスクスと笑う優のいらん言葉で少し期限を悪くした。




佳祐と夕季も爆笑してるし。





『シバくっ』



「また今度ね。



じゃ、那琉、バイバイ」




遠矢は少し悲しそうに手を振った。




紅羅も渋々、、という感じで手を振ってくれた。





皆に手を振ると玲は私の手を引っ張って外に出た。





『…………ごめんね、倉庫来れなくて』




「…夜はメールする。だから返信しろ」





命令口調だけど、どこか優しさで固められた言葉だった。





それに笑みがこぼれて、車に乗ってから目を瞑ってその嬉しい気持ちに心を委ねた。