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『うー…疲れたぁ………』
「ごめん」
『何がー?
バイクで腕を使ったーって意味なんだけど』
「………ありがとう」
優は小さく微笑みながら呟いた。
『さー、帰る?
私、そのまま家に帰ろうかと思ってたんだけど………』
優はフッと無表情になって口を噤んだ。
その様子に違和を感じて顔を覗き込むと優は私をまっすぐに見て私の肩を掴んだ。
「………那琉、怒るかもしれないけど、
俺は情報屋だ。」
……さっきも言ってたじゃん。何、何なの?
その言葉に首を傾げると、優はぐっと唇を噛んだ。
暫くの沈黙を破ったのは、優の言葉だった。
「………那琉の、全てを知っている。
背負ったモノも、今の状況も…」
ドク、
心臓が、嫌な音をたてて跳ねた。
『………っは…』
「ごめん、玲達から一度、那琉のことを依頼を受けた。
それで調べてみたら…
酷かった、から………
俺だけしか知らないけど…
ごめん………」
ドク、
わかってる。
ーーー「小娘に何ができる」ーーー
五月蝿い。
ーーー「あの2人が居なくなれば、終わりだな」ーーー
黙れ。
ーーー「会社を渡せ」ーーー
五月蝿い。
五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い。
「だから、那琉ーーーー」
『五月蝿いっ‼わかってる‼』
わかってるよ。
自分の価値も存在意義も。
突然叫んだ私を目を見開いて見る優に訳のわからない罪悪感が湧いて、視界は滲んでくる。
何の前触れもなく、何の意識もなく走り出した。
「那琉ーーー‼」
ごめん、今は
ダメだ。

