黙り込んだ私に何を言う訳でもなく優は静かにエンジンを吹かした。
「那琉、しっかりつかまってて」
そう言って私の手を優の腰に回させる。
それに素直に従ってぎゅっと抱きつくと優の大きな背中に頬がくっついて、温かいと思った。
優は「出すよ」と言ってバイクを運転しだした。
風が頬を撫でる。
そんな感覚に酔いしれて、ウトウトとし始めた時、バイクのスピードは落ちて停車した。
「…那琉、ウトウトしてただろ」
『え?』
な、何でわかった……?!
「今、目がトロンとしてるから」
目元を指でグニグニと押されて唸るとケラケラと笑って手を離した。
『う、わぁ……』
パッと目に入った視界いっぱいの海。
夕日に照らされてオレンジに輝いている。
『幻想的!優、見ーーーー』
て、と繋げようとした言葉は優に抱きしめられたことにより、口にできなかった。
『……、優』
「……」
ぎゅっと力を強くして私を逃がさないように抱きしめる優。
背中に手を回して目を伏せる。
「……俺ね、正真正銘蒼月か、って聞かれたら、すぐに答えられないと思う」
『……』
「だって俺、ただの情報屋だから」
……「優の、話しを聞いてやってくれ」
そんな、悲しいこと、言わないでよ。

