姫はワケあり黒猫様





「今日はあっついなー。


ジメジメしてやがる」



夕季がシャワールームから出て来て濡れた髪を振りながらそう言った。




窓の方を見てみれば雨が降っていた。




どうりで。ジメジメするワケだ。




『除湿つける?』



「いや、那琉に悪いからいいよ」




遠矢は困ったように笑って首を振った。



それに何となくムッとして遠矢に向かって口を開いた。



『……私がつけたいんだけど』




「……そう、ならどうぞ」




クスクスと笑う遠矢に怪訝な目をむけてからエアコンの設定を暖房から除湿へと変える。



「わぁ、わぁ。



涼しくなるね!」



紅羅がきゃっきゃと幼稚園児のようにはしゃいでいるのを見て顔を綻ばせた。




和む。紅羅さえ居れば絶対にこのメンツでも和む。




そんなことを考えていると、玲が私を見て首を傾げた。





「制服に着替えないのか?」





『……』







……



『着替えてくるところだったの』



「ブフッ……そうかよ」



噴くな。




ムッとした表情で噴いた響を睨みつけるとケラケラ笑って「早く行きなよ」と促してくる。



……ホント、女の扱いになれていると言うか…



溜息をこぼしてから自室に向かった。







クローゼットの中の制服を、ブレザー抜きで取る。




最近は暑くなってきた。




怜達もカッターシャツだけ。




腕まくりされたその腕は筋肉がついていて見惚れるほどだった。



いやぁ、男の子って、いいよね。筋肉つくから。



私なんて、アッチで鍛えても何ともならなかったよ。







そんな男女の差に悲しくなりながらカッターシャツにパーカーを羽織ってネクタイを緩く結んだ。