姫はワケあり黒猫様





「おっ先です」



ソファ越しに肩に腕が置かれる。




濡れた毛先からただよう自分の匂い。




振り返ると紅羅の顔がドアップで視界に写った。





『ん、お湯よかった?』



「うん!




那琉いっておいでよ!」



紅羅が可愛らしい笑みを浮かべながら私の頬に自分の頬を擦り付ける。



か、かわ……



顔をほんのり赤くすると、前から玲の視線が突き刺さったのでおとなしく立ち上がった。




『……お言葉に甘えようかな』




少し笑って言うと、皆は頷いた。




夕季、先に入らせるんだったなぁ…




リンゴだけ食って寝やがって。バカやろ。




毒づきながらリビングを後にした。