去り際に、なっちゃんが(がんばれ!)と口パクで言っていた……ような気がする。
ハァ。違うって言ってんのになぁ。
「とりあえず、俺達も帰るか」
そう言って伸治くんが帰る準備をし始めたから、私も急いで準備して帰った。
「で?何もなかったの?」
次の日、なっちゃんにあの後何かなかったのかと聞かれた。
「え?うん。特には」
「ホントに?ちょっとどんな感じだったか教えて!!」
「えっと……」
あの後は、普通に2人で帰った。
まあ、ほとんど無言だったけど。
家に着き、夕飯を食べ始めた頃に伸治くんが
「なんか、意外だったな」
と、ボソッと言った。
「そうだね。でも、びっくりはしたけど、けっこうお似合いだよね。あの2人」
私がそう返すと、
「だよな。なんだかんだ言って、仲いいもんな、あいつら」
伸治くんも賛成してくれた。
「とりあえず、あたしたちは見守ってあげよ♪」
「おう!まぁ、ちょっと戸惑ったけどな」
伸治くんは笑顔でそう言った。

