「え?話?」
なっちゃんが難しそうな顔をしながら聞いてきた。
「うん。ろうかで会った時にね、『話がある』って伸治くんに言われて、とりあえず伸治くんがよく使ってる部屋に行ったの。
二人で部屋に入って床に座ったら、伸治くんが『なあ、俺、何した?』っていきなり聞いてきて。
何のことか分かんなくて、『え?何のこと?』って聞いたら、『最近、なんか態度ちがくね?』って言われて、ああ、そういうことか、ってそこでやっと納得したわけ。
それで、慌てて『ちがくて!!そういうわけじゃなくて!!』って言ったら、『え?どういう意味?俺のせいじゃないの?』ってきょとんとしちゃって。
その顔がおもしろくて思わず笑っちゃったら、『笑うなよ』って怒られたけど、全然怖くなくて。
そんなことやってたら、なんか気持ちが楽になってさ。『じゃあ、なんで?』って言われて、伸治くんには、なんとなくあのことを知られたくなくて、『ごめん、それは言えない……』って断ったら、『分かった。でも、あからさまに避けられると、結構傷つくんだけど……』って悲しそうに言われて、『じ、じゃあ、避けるのはやめるようにするよ!』って思わず言っちゃって……。
そしたら、伸治くんが『まじで!?ありがとな!』ってうれしそうに言うもんだから、今さらナシに出来なくなっちゃって……。
せめて、名前だけはこのままでと思って、『あ、でも、呼び方は伸治くんでいいかな?』って聞いたら、一瞬悲しそうな顔になったような気がしたけど、すぐに、『おう、いいぜ!』って言ってくれたから、今もそう呼んでるんだ」

