私の話に一区切りついたところで、それまで黙って聞いていたなっちゃんが口を開いた。
「で、そのあとどうしたの?」
「とりあえず、おすそ分けを持っていったんだけど、事前に持ってくって言ってあったから、伸治くんが出てきちゃって……。
少し前に言われたばっかだったし、どっかからさっきの三人が見てるかもしれないって思って『……伸治……くん、これ……あげるね』って言って押し付けて逃げちゃって……。
伸治くんもかなり困惑してたけど、迷惑かけたくなくて、それ以来、伸治くんのこと避けるようになったんだよね……」
「ふ~ん。でも、今は普通にしゃべってるよね?どうして?」
「……ある日、私がおばあちゃんの家に居る時に、伸治くんが遊びに来たの。
おばあちゃんは伸治くんのこと気に入ってるし、すんなり家に入れてね。
でも、あたしはそのこと知らなくて、ろうかでばったり会っちゃってね」
「古川先輩は?つぐみが居るの、知ってたの?」
「たぶん、知ってて来たんだと思う。玄関にあたしの靴あるのみて分かっただろうし……。
それにね?その日、伸治くんはあたしに話があって来たんだ」

