「えっと……。中一の時の話なんだけどね……」




そう言って私は話し始めた。




今、私達は夕日で赤く染まった公園にいる。




今日は生徒会がなかったから、帰りにここに寄ったの。




伸治くんたちには、二人で出かけることは言ってある。




「あたしが伸治くん家におすそ分けを持っていったときにね、伸治くんの家の前に中三ぐらいの女の子が三人立ってて、『愛実さん、だよね?ちょっと話いいかな』って言われて、訳も分からず『はい……』って言ったら、路地裏に連れていかれたの。




意味が分からなくて、『あの……』って話しかけたら、『あんたさ、伸治くんにつきまとうのやめてくれない?』っていきなり言われて。




『しんちゃんのことですか?』って聞いたら、『あんたのせいで、うちらかまってもらえないんだけど』って言われて、私のせいじゃないんじゃ……?って思ったけど、なんて言われるか分かんないし、黙ってたの。




そしたら、『ていうかさ、あんた伸治くんのこと好きなわけ?』って聞かれて、とっさに『いや……そういうわけじゃ……』って言ったら、『だったら、あんまりからまないようにしてくんない?時々会ってるみたいだけど、目障りなの!あと、しんちゃんとかなれなれしすぎ!これからは伸治くんって呼べよ!!』って言われて、怖くて逆らえなくて『……はい』ってうなずいちゃって……。




それっきり、伸治くんって呼んでるんだ」