それから私たちは中学時代について話しながら、体育館に向かった。




入学式は名簿順で座るから、わたしとなっちゃんは隣同士になる。




なっちゃんは小6の夏休みに家の都合で転校してしまった。




私がそれを知ったのは夏休みが明けてから。




担任の先生に聞かされた。




先生は、『彼女が、別れがつらくなるから黙っていて欲しいと言っていたので、みんなには黙っていた』と説明してくれた。




でも、それに気づけなかった私はすごく後悔していた。




黙ってるのは、つらかっただろうな、そう思ったから。




「ごめんね、なっちゃん。あたし、なっちゃんのこと、気づいてあげられなくて……」




「ううん、気にしないで。それに、担任の先生からも聞いてたの。みんな、寂しがってるって。特に、つぐみが……」




「そっか。そういえば、どこに引っ越したの?」




「う~んと……。実は、私が転校したのはね、離婚したお父さんについていったからなの。




それで、実家のおばあちゃんの家に行ったんだ。前住んでた家から結構近かったんだけど、校区が変わって……。だから、転校したの。




近かったから、また会えるかもって思ったけど、それでも、やっぱり毎日会えなくなるのはいやだったんだ……。




でも、高校は近いところ選んだら、いっしょになれたね」