まず、伸治くんがいるのにびっくりした。
でも、それはきっと今日から住み始めるんだから、準備とかするためだよね?
荷物持ってきたり。
じゃあ、一緒に寝たのは?
ていうか、あたしが泊まったのってお母さんに勧められたからだよね!?
そこまで考えて、なんとなく分かってきた。
「……もしかして、全部仕組まれてたの?」
「そういうこと。お前を昨日泊まらせたのは、こうでもしないと住んでくれなさそうだから。で、俺が泊まったのは、準備もあるけど、お前の監視だな」
「……監視?」
「お前は気づいてないだろうけど、昨日の夜、お前のばあちゃんがこっそり家出てったんだよ。例の旅行に行く為に」
うそ!!全然知らなかった……。
「だから、お前が気づいたりして、不審に思ったりしないように見張ってたわけ」
ふーん、て、ちょっと待って!
「え!?てことは、もうおばあちゃんいないの!?」
「気づくのおせぇよ。お前の悲鳴聞いても起きてこないとか、普通ありえねぇだろ?」
た、確かにそうだけど……。
「だって、そこまで気がまわらなかったんだもん……」
はぁ、まさかもういなくなっているとは……。
せめて見送りたかったなぁ。