俺は喫茶店を出て、搭乗口に向かった。




~愛実side~




走っていくと、伸治くんらしき人影がちょうど手続きを終えて、行ってしまいそうなのを見つけた。




「―…伸治くん!!」




思いっきり叫んでみたけど、気づいてくれなかった。




でも、やっぱりあれは伸治くんだ。




どうにかして気づいてもらわないと。




考えている間にも、伸治くんはどんどん遠ざかっていく。




待って。行かないで!




まだ、言ってないことがあるの!




だから、行かないで!!




「…―しんちゃん!!」




私は泣きそうになりながら、無意識にそう叫んでいた。