「っ……」
すると、麻衣香さんは悔しそうな、悲しそうな表情をした。
「そりゃあ、つらかったよ。こんな方法でしか付き合えないなんて。でも、思い出はたくさん出来た。だからそれでいいの」
そう言って、顔を上げた麻衣香さんは、心から微笑んでいるように見えた。
麻衣香さんがさっき泣いていたのは、やっぱり、別れたのがつらかったからだろうな……。
私も麻衣香さんに微笑み返した。
「それより愛実ちゃん、行かなくていいの?」
「へ?」
「さっき、急いでたように見えたけど……」
あ!そうだった!伸治くんに告白しなきゃ!
「あたし、伸治くんに用事があって……」
「今日出発のはずだから、空港じゃない?さっきまで一緒にいたし、まだ間に合うと思うけど」
「分かりました!行ってきます!」