俺は、歩きながら、いろいろと思い出していた。
二人でこうやって歩くのも、今日が最後か。
さっきはいつもみたいに話せたし、もう思い残すことはねぇな。
途中でちらっと愛実の方を見てみると、なにか考え込んでいるようだった。
何を話せばいいか分からなくて困ってるのかもな。
俺はそう思いながらも、話しかけることはしなかった。
もう、愛実との関わりをなくさないといけない。
タイムリミットが、近づいていた。
そしてとうとう家の前に着いてしまった。
愛実は相変わらず何と言えばいいのか分からないみたいだ。
「……じゃあな」
俺はそう言って背中を向けた。
「―…伸治くん!!」
すると、愛実がいきなり叫んだ。

