泣いている愛実を慰めてやるのは、もう俺じゃない。
あの二人の間に入ってはいけない。
……昔は、俺の役目だったけど、村田がいるなら、もう俺は必要ないな……。
俺は、愛実を村田に託すことに決めた。
おばけ屋敷から出ると、麻衣香がこう言った。
「なにか飲んでから帰りましょ?」
すると、その提案に対し、
「あ、じゃああたし買ってきます!」
と、なぜか積極的に愛実が名乗り出た。
「じゃあ、適当に買ってきてよ!」
「分かりました!」
愛実はすぐに荷物を持って行ってしまった。
もう暗くなってんのに、一人で行ったらあぶねぇだろ。
俺はそう思い、村田の方をちらっと見た。

