俺はとっさに受け止めた。
「あ、ごめん。ありがと!」
どうやらお化けにビックリしたらしい。
その時、俺は、愛実が文化祭の時、お化けに驚いて泣いていたのを思い出した。
俺達の後ろにいる愛実の方をゆっくりと振り返る。
「…っ…うっ…」
「愛実?大丈夫?……何かあった?」
「……ごめんね。何でもないよ。大丈夫」
「……そう……」
思ったとおり、愛実は泣いていた。
でも、その隣にいる村田が愛実を慰めている。
俺はその光景を見て、自分の中の何かが変わったような気がした。
……村田に、愛実をとられたような、そんな感覚に陥った。
そうだ、愛実には村田がいる。

