「ちがう?」




「……そう、です。ごめんね……」




「……やっぱそっか!まぁ想定はしてたし。それに、愛実は悪くないんだから、謝らなくていいよ!」




「で、でも。今日だって、あたしのためにいろいろしてくれたのに……」




私がそう言うと、啓太は私の前に立ち、こう言った。




「……確かに、愛実のためっていうのもあるけど、俺のためでもあるから」




「え?どういう意味?」




「今日一日一緒にいて、それでも俺じゃなくて古川先輩の方がいいって言うなら、諦めようかなって思ってたんだ。ま、結果は完敗だったわけだけど」




啓太は苦笑いしながら続けた。




「それに、愛実の気持ちを変えられなかったのは、俺の力不足だしね」




「啓太……」




「俺は諦める。その代わり、絶対古川先輩に気持ち伝えてよ?」




「うん!わかった!」