「だからさ、何があったか話してくれない?」
「うん……」
私は、さっき二人がキスしているところを見てしまったことを話した。
「そっか……。つらかったよね……」
啓太はその話を嫌な顔せずに聞いてくれた。
ほんとうにいい人だよな……。啓太のこと好きになれば、よかったのに……。
「あのさ、まだ古川先輩のこと忘れられないんだったら、しばらく他の家で暮らしたら?」
他の家で、暮らす……?
「いっしょにいたら、いつまでたっても変わらないと思うんだよね」
それもそうか……。
「そうだね、なっちゃんに頼んでみるよ」
私はさっそく、なっちゃんに電話して聞いてみた。
「もしもし、なっちゃん?あのさ……」

