「あっ……」
麻衣香さんが伸治くんにキスをしていた。
どうしよう……。見ちゃった……。
このままここに居てはいけないと頭では分かっていても、足が思うように動かない。
すると、伸治くんが麻衣香さんを少し突き飛ばしながら離した。
麻衣香さんは、離された後そのまま顔を上げた。
「あれ?愛実ちゃん?」
すると、たまたま私と目が合ってしまった。
「っ!!」
そしてなぜか、伸治くんがその言葉に反応し、後ろを振り返った。
私の姿を見るなり、伸治くんは「はぁ……」とため息をつきながら片手で顔を覆った。
「っ、すいませんでした!」
私はそう叫ぶと、勢いよく走り出した。

