まだ伸治くんのことを忘れられていない私には、その光景は衝撃的すぎて。
……もうダメだ。こんなの見せられて、耐えられない……。
そう思ったら、自然と涙が出てきてしまって。
「…っ…うっ…」
嗚咽が少し漏れてしまった。
すると。
「愛実?大丈夫?……何かあった?」
私の異変に気づいた啓太が、小声でそう尋ねてきた。
「……ごめんね。何でもないよ。大丈夫」
「……そう……」
ごめんね、啓太。でも、こんな相談は出来ないよ……。
なんとかおばけ屋敷を出ると、辺りはもう暗くなっていた。
「なにか飲んでから帰りましょ?」
麻衣香さんにそう提案された。

