あの時のことが蘇り、自然に汗が出てくる。




するとその人はいきなり立ち止まり、くるりと私のほうを振り返った。




「いきなりごめんね。私、伸治と同じクラスの西野麻衣香っていうの」




笑顔の麻衣香さんを見て、とりあえず大丈夫なんだと思いホッとする。




「で、はっきり言うけど。あなた伸治のこと好きなんでしょ?」




「!!なんで知って……」




まだ誰にも、なっちゃんにすら言ってないのに!!




「見てれば分かるわよ。私はずっと伸治を見ていたの。その隣によくいるあなたのこともね」




「え?それって……」




「そうよ。私も好きなの。伸治のこと」




そうなんだ……。それに麻衣香さん、さっきから伸治って呼び捨てだし、相当仲いいのかな?




「ま、あなたに負ける気はしないけど、とりあえずそれだけ言っとこうと思って。じゃ、またね?愛実ちゃん」




麻衣香さんはそう言うとさっさと行ってしまった。