「もしかして、俺のこと好きとか?じゃなきゃ逃げるっしょ?普通」
え?私が伸治くんを?……好き?
「……な~んてな。んなわけねぇか……」
そう言った伸治くんの目は少し哀しそうに見えた気がした。
伸治くんのその言葉にどう返したらいいのか分からず、私はただ黙っているだけだった。
「……もう寝るわ。おやすみ」
伸治くんはそう言いながら私の上からおりた。
「あ、うん。おやすみ」
私は戸惑いながらもそう返し、部屋を出て行く伸治くんの背中を見送った。
「あたし、ほんとに伸治くんのこと好きになっちゃったのかな……」
生徒会室のことや今のことを思い出すと、胸がドキドキする。
たぶん、きっと。私は彼のことを好きになってしまった。
けれど、私は絶対に彼を好きになってはいけない。
その思いが私を苦しめ、好きという気持ちを素直に認めさせてくれない。

