涙を拭い肩をポンポンと叩く様子を見守る二人の視線を感じた。


「劉くん…!!!

せっかく友達が…見学にきてくれたんだ…!!

何か一曲弾いてあげなさい…。」


そんな二人の様子を見つめて私を促し二胡を楽器箱から構える。


曲目は――初めてあの宿舎で弾いた曲。

今の私達にはきっとこの曲がしっくりくると思ったから……。

――あの日も仇である化者にいどむ為男装までして宿舎に潜り込んだ。


馬小屋みたいな唐草が残るほんとに石造りの小さな一郭が3人が共にこの長い戦いに足を踏み入れた運命の一曲となったのだった。