「……え?どういうこと?」 笑い飛ばしたかったけれども、翼くんの真剣な顔があたしをそうはさせてくれなかった。 「嘘みたいだけど本当なんだ。昨日、急にフランスから父さんが帰ってきて向こうで仕事がうまくいったから一緒に暮らそうって……」 言葉がでなかった。 だけど翼くんの話は続いていく。 「母さんは大喜びしてる。これで家族みんなで暮らせるって。母さんには今まで散々心配かけたから、そんな幸せを壊したくないんだ……」 夢をみているような現実を、今あましはみている。 「だから俺、いこうと思う」