本鈴のチャイムが鳴り響いて間抜け面の教師が気の抜けた声で席に着くように促した。 みんな複雑な面持ちで疎らに席につく。 俺も席についた。 葵が教師をすり抜けるようにして教室から走り去っていった。 その瞬間、俺の中に風が強く吹いた。 嵐のような騒がしい風じゃなくて、とても静かな風だった。 今までの自分の間違いを理解した気がした。 「おーい。原田ぁー。保健室か?まぁ、授業始めるぞー」 そして、いつもと違う雰囲気の中、いつもと同じ授業が始まった。