「ふぅ…………」 静まり返った廊下。 ひとつだけ明かりがついている教室があった。 覗いてみようかと思ったけど今はそんな暇ない……うん、やめておこう。 早く鞄を取って帰らなきゃ。 大上くんになにか言われる前に帰らなきゃ。 あの男に口で勝てるわけがない。 すぐ人を黙らせてしまう特技を持っているんだあの男は。 ここは逃げるしかないでしょ! 「電気消して帰ってくださいねー」 「え、あ、はい!」 わたし以外誰もいないだろうと思っていたからいきなりの人の声に驚いた。