【完】うしろの席のオオカミさん



昨年もなんとなく顔を見たことがあるからという理由でこの人に投票したんだよね。



一歩を踏み出そうとしたそのとき、




「及川日向子!俺に投票してくれるよなぁ?」




マイクを通しても変わらない耳心地いい声。


……は、い?
わたしの名前呼びました?




「もちろん俺だよな?」



完全に固まってその場から動けないわたし。


莉乃ちゃんはわたしと大上くんを交互に見てはえっ?えっ?とアタフタ。


まわりのみんなは……




「及川日向子って誰?」


「三年生?」


「もしかして彼女!?」




そんな声が聞こえてきた。


あ、うん……
わたし目立たない存在なんでね。