冷たい風が吹き抜けてふわっと髪が舞う。 暖かな日差しが当たっていて寒くは感じない。 掴まれている腕に視線を落としているとゆっくりと大上くんが振り返った。 「っ……あの…大上くん……」 また胸の鼓動が大きく跳ねる。 何も喋らない大上くん。 じっとわたしを見据えるその目はとてもまっすぐで綺麗だった。 わたしもまっすぐと見つめる。 視線をそらさないで。 わたしだけを見てほしいの、って言ったら大上くんはなんて返してくれるんだろう。