「ねえ、郁磨っ!ボタンはぁー?」
「あたしもほしいっ!」
「先輩~!」
近くにいた女の子達に押しのけられわたしは大上くんに近づくどころか、むしろさっきよりも遠いところにいる。
無言でいちゃダメだ。
何か言わなきゃだ……!
「大上くんっ!ボタン……ください!」
って、おいー!
なにやってるんだ及川日向子!
違うよぉー…
ボタンも欲しいけど、言うことが他にある。
しかも周りが賑やかすぎてわたしの声なんてかき消されちゃって届いてないみたい。
大上くんは何も言わずにただこちらを見ているだけなんだもん。
どうしよう。どうすれば……



