【完】うしろの席のオオカミさん



この気持ちと向き合うのが嫌なんだ。


なら、このまま気づかないフリをしていけばいいのかも。



卒業を迎えればもう大上くんと関わることもない。


大学は同じでも高校とは規模が違うんだ。
学部だって違うし。


会うことはたぶん、もうない。




「あ、ごめんなさい。なんか雰囲気暗くなっちゃいましたね。ふふ、わたしまだまだ食べれますよー?お姉ちゃんはデザート何頼む?」




考えない。考えない。


逃げることは別に悪いことじゃない。

自分を守るために逃げるのはアリでしょ。


わたしは傷つきたくないんだ。


大上くんは他の女の子にもあんな風にキスしたり、好きって言ったりしちゃうんだ。



あんな人、本気で好きになったって振り向いてもらえるわけがない。