さっきまで話に出ていた人物。
大上郁磨。
大上くんは鞄をしょって階段を上がってくるところだった。
べたりと床に座り込んでるわたしを変なものでも見るかのような目で見ながらどんどんこちらに近づいてくる。
「……どした?」
「い、いや……別に」
眉間にしわを寄せながら大上くんは膝をついてしゃがみこんだ。
目線の高さがほとんど同じになる。
大上くんがわたしの顔をのぞき込もうとしてとっさに顔を背けた。
「……まさか、転んだ?」
信じられないといった顔をする大上くん。
そうだよ。
あなたのオトモダチに突き落とされたのよ!
自分で転んだわけじゃないもん!



