「あんたみたいなブス、郁磨がなんで相手してんのか意味わかんないわ」
「気に入られてるとか思い上がってんじゃねーよ」
肩を押されてバランスを崩したわたしはとっさに手すりを掴もうとしたが、
「ほんとウザイ」
声も出なかった。
手すりを掴もうとしたその時、もう一度強く背中を押され、ズルッと階段を滑り落ちてしまった。
踊場まで後数段だったからそんなには滑り落ちてないけど……
「……っ」
ジンジンする膝をさすりながらその場に丸くなった。
痛い……全身が痛いよ。
遠くなる足音を聞きながら血が出るぐらいに唇を噛んだ。



