「いいね。その泣きそうな顔」 妖艶な笑みを浮かべる大上くんから目が離せなかった。 立ち上がろうと足に力を入れてみても全く力が入らない。 逃げたいのに逃げられないなんて。 どうすればいいのさ。 この図書室に他に人がいれば大声で叫んでいたのに。 「やだ……っ」 手首を掴まれ引き寄せられたと同時にふっと暗くなる視界。 掠めただけのキスなのに、大上くんの唇は熱を持っていた。 熱すぎる。 ねえ、わたし風邪うつっちゃったのかも。 頭がすごくクラクラする。 「なんでキスなんてするの……?」