部屋に戻ると、さっそく千晶ちゃんにさっきの出来事を話した。


「マジで!?佐野と話したの?」

「うん…」

胸の鼓動はいまだに速いまま。
中々おさまってくれそうにない。


「ひゃあー。そりゃまたビックリだ…。ってか、尾行してたことバレてないよね!?」

「だっ、大丈夫…。それはないと思う」

「そっか。あー、よかった」


さっき交わした会話の一つ一つを千晶ちゃんに話していると、急にこんなことを言い出した。

「でも、やっぱり佐野は佐野かぁ。ちょっと脈ありなのかなぁって思ったのになぁ」

「えっ…?」

「未来のこと」

「なっ、ないよっ…!それは、絶対ない…」

自分で言いながら悲しくなってきた。
でも、ほんとにありえるわけないから…。


「そうかなぁ。なんとなく他の女に対する態度とは違う気がしてたんだけど」

もしそうだとしたら…とても嬉しい。
だけど、そんなふうに思える自信はどこにもなくて。


「未来ー!ほらそんな暗い顔しないで!歌おっ?ねっ!」

「う、うん…」