「…おい、お前っ!な、何やってんだよっ!」

さっきまで呆然としていた笹本くんが、勢いよく立ち上がり佐野くんに言った。

そんな笹本くんの姿に、またおかしそうに笑い出す佐野くん。


「笑うなっ!マジで!ふざけんなよっ…!」

「なんでそんな怒るの?」

「なんでって…!」

笹本くんと佐野くんが言い合う中、私の胸はドキドキと高鳴っていた。


佐野くんの指の感覚が、まだ唇に残ってる…。

ほんとに、ビックリした…。


だって…

これってある意味…間接キス、だよね。

…っ。
そう思ったら、恥ずかしくて…恥ずかしくて。

体中が熱い。
まるで風邪をひいたみたいな感覚…。



佐野くんの言葉や行動は…ケーキよりも甘い。

甘すぎて、溶けてしまいそう…。


ぼんやりとした意識の中、ただただ…甘い気持ちだけが、溢れていた。