「私も…佐野くんと一緒にできて良かったよ」

恥ずかしくて、佐野くんの目が見れず、俯きながら話す。私の本音。

佐野くんと同じグループになれたおかげで、またこうやって話せてるから…とても嬉しい。

きっと、ずっと話せない日々が続くんだろうなって思っていたから…。


「高野さん」

佐野くんの声に、私はゆっくりと顔を上げた。すると、ばっちりと目が合う。

…っ。
佐野くんの眼差しに、胸が震える。見つめていられなくて…すぐに目をそらした。


「可愛い」

佐野くんの甘く落ち着いた声が、胸に響く。

…同時に佐野くんとの距離が縮まった。


「えっ…あの、佐野くん」

何?どうなってるの?

気付くと私は壁にべったりと背中がついた状態。

そしてすぐ目の前には、壁に手をついた、佐野くんの姿。

…っ!


「あのっ…佐野くんっ…!」

「何?」

何って…。
この状態って。


「目、瞑って…」

待って、待って…ダメだよ。

徐々に近くなる、佐野くんとの距離。

どうしよう…!


きっと…思いきり拒めば、佐野くんはやめてくれる。

だけど…拒めない。
佐野くんのことが、好きだから…。