「誰もいない…」

ポツリと呟いた自分の声も、なんだかいつもより大きく聞こえる。

そのせいなのか、余計に緊張してしまう…。


「二人きりだね」

佐野くんの囁くような声に、胸がドキンと弾んだ。


図書室掃除以来の、佐野くんと二人きり。

あれからまだあまり日は経っていないけど、凄く久々な気がして…落ち着かない。


すると、佐野くんがまた口を開いた。

「高野さん、ロールケーキ作ってくれてありがとね」

「…私だけじゃないよ。みんなで作ったものだから」

「でもほとんど高野さん任せだったし。高野さんと同じグループでやれて良かったよ」

嬉しい…。
こんふうに言ってくれるなんて。


佐野くんとグループを組みたがっている女の子は沢山いた。

そんな中、佐野くんのほうから一緒にやりたいって言ってきてくれて…本当に嬉しかった。

毎日料理やってて良かったな…。