True Love

教室に着くと、真っ先に佐野くんの姿が目に入る。

また数人の女子と話をしていた。


ドキドキと、心音が痛いくらい耳に響く。今日の朝から、ずっとこんな調子。ずーっとドキドキしている。

だけどやっぱり、朝教室に入るときが一番ドキドキした。

佐野くんの姿を目にした瞬間、緊張し過ぎておかしくなりそうだった。

こんなになってしまうなんて。
ほんとに、恥ずかしい。


「あれぇ?おかしいな…立川がいない」

「…情報収集って、立川くんに聞くの?」

「そう!だってあいついつも佐野といるし、一番佐野のこと知ってそうだもん」

確かに、佐野くんの一番仲良しな友達は立川くんだと思う。

だけど…何ていうか、立川くんみたいなタイプはちょっと苦手。

昨日の下駄箱でのこともあるし、怖いイメージがある…。


その時だった。

「邪魔」

背後から聞こえた声に、肩がビクンと跳ねる。