「まあ…それは置いといて。未来…さ、やっぱり佐野のこと好きになったんじゃない?」

「…っ」

なぜか一瞬で泣きそうになった。

そんな様子の私を、千晶ちゃんが心配そうに見つめる。


「そう、だよね…?」

もう一度、確かめるように私に問いかける千晶ちゃん。

まるで既に答えがわかっているかのよう。

私は小さく頷いた。
頷いた自分に、内心少し驚きながら。


ああ、そっか…。
私…バカだなぁ。

もう、自分の気持ちに嘘はつけないと思った。

気付かないふりなんて、気持ちを騙すなんて、無理だ。

一瞬で、好きになっていた。

だけど、好きになってはいけないと思った。

この恋はきっと…叶わないから。

最初から結果がわかっている恋に立ち向かえるほど、私は強くない。


だけど…もうきっと、後戻りはできない。
一度認めてしまった想いを、なかったことにはできないから。