私にはこんな日、くるのかな…。
ふとこの前のことを思い出す。
佐野くんを尾行した日のことを。


全部、夢だったらいいのにって…何度も思った。


だけど、そんなことありえなくて。
全てこの目で見たことが現実。
あれが佐野くんの日常。


なんで今思い出すかな…。
なるべく思い出したくない出来事なのに。


一気に心に影が射し、暗くなる。
佐野くんとこんなやり取りする日なんて…絶対来るわけないのだから。


「高野はほんとなんでもできるんだなぁ。料理もできるし勉強もできるし。完璧!」

…!

聞こえてきた声に、ハッと我に返る。
いけない。
つい考え込んじゃってた。