「予想はしてたけど、マジで佐野は根っからの遊び人だね」

来た道を戻りながら、千晶ちゃんが言う。


返す言葉が見つからない。
心が疲れ切ってる。


だけど…どんな佐野くんを見ても、結局は嫌いになれなくて。

苦しいと思うたびに、好きだと実感して。

どんなに傷付いても、もっと知りたい、もっと彼に近付きたい。

その想いは強くなる一方だった。


たとえ特別になれなくたっていい。

そんなふうに思うほどに、佐野くんへの想いは募るばかり。



このまま夜の街に飲み込まれてしまいたい…。

星一つない真っ暗な空を見上げながら、そんなことを思った。