突然右近は和成の肩を抱いて無理矢理紗也に背を向けさせた。 そして耳元に小声で尋ねる。 「ところで和成。もしかして役得?」 「何が?」 訝しげに眉をひそめる和成に、右近は楽しそうに語る。 「一緒に馬に乗ってさ、紗也様を……」 右近が何を勘繰っているのか判明するに従って、和成は徐々に赤面した。 「背中からぎゅっと……」 そう言いながら肩を引き寄せた右近の腕を振りほどいて和成は叫ぶ。 「してねーし!」