「斬れません」 紗也は意外そうに目を見開いた。 「敵なのにどうして?」 「わかりません。咄嗟にそう思いました」 どうしてそう思ったのか、和成自身が困惑していた。 先ほど胸に広がった不快感の正体もわからない。 紗也はそれ以上追及することなく、勢いよく立ち上がった。 「ま、いっか。和成が私を斬る事はないって事だから、もう怖くない」 そう言って紗也は、和成に笑いかけた。 「助けてくれてありがとう」