塔矢に促されて、和成はポツポツと話し始めた。


「戦の前日、紗也様に結婚を申し込みました。塔矢殿には事後報告になってしまいましたが、紗也様が塔矢殿には自分が話すとおっしゃってたので私が先に話すわけにはいかなかったんです。けれど、塔矢殿に話があると言った時にはもう心は決めていました。たとえ塔矢殿や他の重臣たちに反対されても、認めてもらえるように自分を高めていこうと。それをお話ししたかったんです」

「そうか。それであの夜、想いはとげられたのか? 一夜を共にしたんだろう?」


 サラリと問いかける塔矢に和成は思いきり動揺する。


「どういう意味ですか。確かに一夜は共にしましたけど、塔矢殿が考えているような事は何もありませんよ。ってか、どうして知ってるんですか」

「あの日、女官長から問い合わせがあったんだ。紗也様とおまえの関係を知っているかと」


 戦の前日紗也は、翌朝自分が呼ぶまで部屋付きの女官を全員居室から下がらせるように女官長に命を下したのだ。